COKEHEAD HIPSTERSから復活第一弾作『FREE NOT FREE』以来、オリジナルとしては約2年8カ月ぶりになるミニ・アルバム『HIT or MISS』が届いた。前作収録の「I WANNA GO NOW」ではアカペラに挑戦したり、「YOU HAVE EVERYTHING」ではレッチリ流ファンクネスを真正面から大胆に取り入れるなど、全体的にポップ性を高めた作風だった。そして、今作も期待裏切らない素晴らしい出来栄えだ。前作と同じく全5曲入りで、よりストレートかつメロディアスな曲調が増えた印象を受ける。音楽的には80年代中盤に勃発し、90年代にさらに加速したミクスチャー/クロスオーバーの血が脈打っている点においては、前作と変わらない。というか、異ジャンルが平気で混交、衝突、啓発し合い、新種のサウンドがどんどん生まれていたボーダーレスな精神性こそ、COKEHEAD HIPSTERSの真骨頂であり、音楽的支柱になっているのだから。ただし、復活以前と明確に違うのは、今の方がフリーダムに針が振り切れている。音楽的なタブーを設けず、ニュートラルな開放路線を突き進んでいるのだ。その風通しの良さが、今作のキラキラ感と抜けのいいアプローチにも繋がっている。
レッチリの4thアルバム『MATHER’S MILK(邦題:母乳)』辺りを意識したという1曲目「NEVER BE THE SAME」は、肉感的なグルーヴで聴き手を巻き込むパワフルな曲調だ。KOMATSU(Vo)曰く「DEAD KENNEDYSやSUICIDAL TENDENCIESみたいな雰囲気」という2曲目「IN MY HEAD」は、エッジの効いたメタル調のギター・リフが効果的なアグレッシヴな仕上がり。3曲目「BREAK UP THE PARTY」は、めくるめく曲展開にレゲエ・フレイバーを振りかけた極上のパーティ・チューンである。シンガロング必至のシンプルさを貫いた4曲目「THE PRESSURE」、鼻歌のように口ずさみたくなるメロディが際立った5曲目「WE GONNA HAVE SOME yeah! FUN TONIGHT」までガッツリ聴かせてくれる。
Hi-STANDARDと同期の“91年結成組”として、真のミクスチャー・サウンドを体現し続ける彼らのプレゼンスは、結成から21年の風雪にも耐え、今なおフレッシュな輝きに満ちている。復活後の取材でメンバーが「コークヘッド・チルドレンが出てこない(笑)」と思わず零していた。それがなによりCOKEHEAD HIPSTERSがオンリーワンであることの証左だろう。待ちに待った今作を聴き、再び心臓が早鐘を打っている。(TEXT:荒金良介)
「HIT or MISS」収録曲
1:NEVER BE THE SAME
2:IN MY HEAD
3:BREAK UP THE PARTY
4:THE PRESSURE
5:WE GONNA HAVE SOME yeah! FUN TONIGHT
2012.9.5. Release
COKEHEAD HIPSTERS「HIT or MISS」
POP137 1,600円(内税)